続・商品価値を分解する

商業をやってみて気がついたのであるが、事業上購入するものや仕入する商品についても、(消費者ではないのに)消費税は徴収される。ただし、商品を再度販売する場合は購入者から消費税が徴収でき、赤字で販売する*1場合以外は徴収する消費税額の方が多くなることから、結局消費税を納めなかったのと同じ事になる。

つまり、商品を購入する時点で、意図しない場合も含めて最終消費者になってしまう可能性はあるわけであるから一応徴税して、結果的に売り抜けることができた場合だけ税を返還するという方式を採っているわけだ。よくできている。

ところで、日本を始めとする先進国*2では第三次産業が盛んになって久しいのだが、第三次産業ほど非生産的なものはない。第一次、第二次産業では原料と生産物はまったく違う態様になっており、原料の時点では人間の利用に供することができないものでも、生産物は高い利用価値を持っていることが珍しくない。

いっぽう、第三次産業における原料と生産物は、(冷静に観察すれば)まったく同じ態様であることが珍しくない。

卑近な例であるが、この場合、鉄人シェフが仕入れたパピコはグリコ社(第二次産業)が製造した生産物であり、鉄人シェフが商品に加えた付加価値は快適なレストランと「鉄人シェフが製造した」というイメージ、高価な皿に載っているという状態といくつかの添え物にすぎない。

もちろん、パピコの栄養価はまったく変化していないので、その意味において第三次産業は「何も生み出していない」といえるだろう。

しかし、価格でみればパピコと鉄人シェフのパピコでは数倍の開きがあるので、消費者の最終効用はこれらの利用価値に直接関係がない工夫によって大いに向上していることがわかる。

本稿では、これらの「利用価値に直接関係がない工夫」、すなわち「付加価値」の分解を試みたい。一見異なる項目に思われるものでも、同一の原因から発しているものは一つの項目として扱った。
なお、以下では筆者独自の用語が多用されるので十分ご注意願いたい。

  1. デザイン、装飾、美観
    同一の機能を持つ商品であっても、消費者の嗜好に合わせた装飾によって付加価値が向上する可能性がある。

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  2. 優越感、選民感情、有限性

    「特別な人しか持つことができない」という意味づけをされた商品は、どんな人でも欲しくなってしまう。どうでもいいDMにも「あなた様だけへのご案内」のようなことが書かれているのはこれが理由である。
    単に価格が高いということが消費者の選民感情を満たすこともあるので、この付加価値に訴えるのは供給者にとって非常に歓迎するべきスキームとなる。
    また、流通する数量に限りがある商品は、需要がある限り何度でも生産される商品に対して付加価値を持つ。ただし、これは生産者にとっても生産コストの上昇を招くリスクがあるうえ、限定品を入手できなかった他者の羨望の的になれなければ意味がないので、そもそも流通量が少ない、人気のない商品には応用できない。

  3. 簡便性、容易性、省時間性
    本来かかるはずであった手間がかからない、あるいは理解が容易である商品は、そうでない商品に対して優位性を持つ。地元の八百屋、宅配弁当、駅チカのマンション、カットフルーツや老人用スマフォの付加価値がこれにあたる。
  4. 軽量性、省スペース性、小分け販売
    同等の機能を有しながら、他の商品より軽量であったり、容積が少ないものは、消費者の自宅の容積や持ち歩けるバッグの重量に限界があることから、重くて大きい商品に対して優位性を持つ。

 

 

*1:これは商法に違反する

*2:個人的には全然そう思わないのだが